コロナワクチン3回目接種(ブースター接種)に関するまとめ、オミクロン株についても
ブースター接種、オミクロン株に関する話題で絶えない日々が続いております。
結局、3回目接種(ブースター接種)はファイザーとモデルナどちらが良いのか?
オミクロン株は今までの株と比べてどうなのか?
上記について様々な見解をまとめてみました。
私見も混ざっておりますが、ご参照ください。適宜更新します。
<オミクロン株について>
オミクロン??
2021年11月24日に南アフリカから報告された新型コロナウイルス変異株の1種です。ウイルスに、既存の株以上に多数の変異が見られています。細胞の受容体に結合しやすくなり、感染力が高まる可能性が懸念されています。
WHO(世界保健機関)はこのB.1.1.529系統の変異株を11月26日に「懸念される変異株 (Variant of Concern; VOC)」と位置づけ、ギリシャ文字順に「オミクロン」と名付けました。
症状について
国立感染症研究所のデータによると重症化しにくい傾向がデータで裏付けられた。
国内で感染した817人のうち症状の程度が入力された510人を見ると、504人は軽症でした。中等症は6人で、うち酸素投与が必要なのは1人にとどまり、重症者はいませんでした。オミクロンに感染した人の中には、無症状で済む人から、肺炎を起こして死亡する人まで様々です。しかし、いくつかの研究で、通常の新型コロナの感染症と以下の点が異なる可能性があります。
- 風邪症状が多い:発熱(約70%)、倦怠感(約50%)、咳や喉の痛み(約40%)
- また味覚嗅覚障害は少ない:約13%でデルタ株の34%と比べると著明に少ないです。
- 潜伏期間が短い可能性:潜伏期間の平均は3日。通常型の5日に比較して、2日ほど早いと言われています。
- 若年での発症・入院数増加:特にイギリスでは、2022年1月から成人だけでなく17歳以下の若年者や小児での発症例も急増してきています。
感染力について
オミクロン株の潜伏期間は平均3日程度で、従来株の5日より短いです。感染力はデルタ株の3~4倍程度とされ、東京や大阪、沖縄では、1.5~1.6日ほどで感染者が倍増したと推定されます。オミクロン株疑い例が新規感染者に占める割合は全国で8~9割に達します。
感染者のうち60%はワクチン2回接種済みの方でした。
英国インペリアルカレッジロンドンからの報告では、オミクロン感染者はデルタ感染者より、病院にかかるリスクが20〜25%、一晩以上入院するリスクは40〜45%低いという結果になりました。家族内感染を追跡した研究では、接触者に感染する確率が、デルタ感染者からは約10%であったのに対し、オミクロン患者からは18%でした。
また、過去の感染によって免疫を持つ人でもオミクロン株により再感染しやすくなり、オミクロン株による再感染リスクはデルタ株に比べて5倍以上高いとされます 。
特徴について
上記をまとめると、
①感染力が強い
②症状が軽い
③重症化率が低い
④再感染リスクが増加する
⑤ワクチンの効果を弱める などが挙げられます。
現時点でオミクロン株の重症化の頻度は少ないとみられますが、感染者が爆発的に増えると一定の割合で入院患者、重症者が出てくるため、医療の逼迫を引き起こす可能性が高まりますし、現在都内の病床利用率も約40%(2022/3/15)程度です。また、高齢者など重症化リスクのある人たちに感染が広がれば、大きな影響が出る恐れもあります。
いずれにせよ安易にオミクロン株は重症化しないから感染しても問題ないと考えるのは危険と思われます。
<3回目接種の効果>
Heterologous SARS-CoV-2 Booster Vaccinations – Preliminary Report
上記の2021年10月に米国で発表されたデータによると、ファイザーとモデルナ、J&Jの接種が完了した約450人を約50人ずつの9グループに分けて、3種類のワクチンをブースター接種した効果を検討している論文があります。
(J&Jは割愛しております)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 抗体価 |
ファイザー | ファイザー | ファイザー | 20.0倍 |
モデルナ | モデルナ | モデルナ | 10.2倍 |
1回目 | 2回目 | 3回目 | 抗体価 |
ファイザー | ファイザー | モデルナ | 31.7倍 |
モデルナ | モデルナ | ファイザー | 11.5倍 |
この3回目接種は米国のデータであり、モデルナ2回目接種と同量を3回目接種に使用しており、3回目は半分量となる日本との直接比較は困難ですが、十分な抗体量が出来ると考えられます。
<オミクロン株を含めた新型コロナウィルスへの効果>
3回目の追加接種後のオミクロン株に対する抗体量
2回目接種後と比べてファイザー社製が25倍、モデルナ社製が日本で行われている3回目接種の半分量(50μg)の接種で37倍に増えるとされています。モデルナ社製の場合は2回目と同量の100μg接種で83倍となるようです。
ファイザー社の報告
55歳以下の方で2回目接種から7日後の抗体量と3回目接種から1か月後の抗体量の比較(中和抗体価)で、
野生種で4倍以上、ベータ株で10倍以上に上昇。
デルタ株に関しては2回目接種から1か月後:3回目接種から1か月後の抗体量の比較で、
55歳以下で5倍、65~85歳で11倍以上に上昇。
モデルナ社の報告
日本と同じ3回目接種において50μg(2回目接種の半分量)を2回目接種から6カ月以内に追加接種し、14日後に中和抗体価を測定すると、
野生種で約23倍、ベータ株で約32倍、ガンマ株で約44倍、デルタ株で約42倍に上昇。
直接比較は時期の違いもあり困難と思いますが、どちらも十分な抗体量が出来ると考えられます。
<ワクチンの発症予防効果について>
上記はNHKのサイトから抜粋したものですが、オミクロン株に対しては、ファイザー社製やモデルナ社製のmRNAワクチンで2回目の接種から2週間から4週間後には発症を防ぐ効果が65~70%でしたが、20週を超えると10%程度に下がっていました。
一方、ファイザーのワクチンを2回接種した人が3回目にファイザーかモデルナの追加接種をすると、2週間から4週間後には発症を防ぐ効果は65%~75%に上がりました。
しかし、3回目接種をしても5週間から9週間後では55~70%に、10週を超えると40~50%に下がりました。
今後の長期的なデータ次第ですが、4回目接種も必要となることは濃厚かと思われます。
<3回目ワクチン接種の副反応について>
ファイザー社のワクチン及び武田/モデルナ社のワクチンいずれの場合も、米国で実施された追加接種に係る臨床試験の結果、追加接種後に確認された様々な有害事象は、2回目の接種後に確認されたものと比較して、その発現傾向は概ね同様であるとされています。
ただし、初回接種時と比較して、リンパ節の腫れの発現割合が高いこと(ファイザー社:5%程度、武田/モデルナ社:20%程度)が、米国で実施された臨床試験の結果の中で報告されています。
なお、米国CDCのデータによると、いずれのワクチンにおいても、追加接種後1週間以内に見られた様々な症状(局所及び全身性の反応や、健康状態、日常生活や勤務への支障等)は、2回目接種後と比較して、その発現割合が低かったとの報告もあります。
一方、国内で実施されている健康状況に係る調査の中間報告(令和3年12月24日公表)によると、初回接種時にファイザー社のワクチンを受けた方に対してファイザー社のワクチンを追加接種したところ、接種から1週間後までの有害事象の発現状況は、2回目接種後とほぼ類似していました。
なお、腋窩痛(わきの下の痛み)(1.34%→5.03%)、リンパ節症(リンパ節の腫れ)(0.95%→1.33%)及びリンパ節痛(0.48%→0.76%)については、3回目接種後の方が、2回目接種後と比較して、その発現頻度は高い傾向が見られました。
<どちらのワクチンを3回目接種に用いるのがよいか?>
上記にも示した通り、予防効果や副反応に差はないと思われます。
コロナ渦が早く収束するために、同種接種・交差接種問わずにモデルナ社製、ファイザー社製どちらでも良いので可能な限り早めに3回目接種をすることが望ましいと思います。
当クリニックでは2022年2月からモデルナ社製ワクチン接種を主に行ってまいります。
ファイザー社製ワクチンは全国的供給不足となり、どれほど供給が入るかわかりません。
皆様が安全に3回目接種が終えられるよう願っておりますし、当クリニックも引き続きワクチン接種を継続して提供することで、皆様の感染抑制に微力ながら努めたいと思います。