当クリニックでの日帰り手術について

日帰り手術

当クリニックで対応できる日帰り手術は下記になります。

肛門外科の日帰り手術

  • いぼ痔(内痔核、外痔核)
  • 嵌頓痔核
  • あな痔(痔瘻、痔ろう)
  • 肛門周囲膿瘍
  • きれ痔(裂肛)
  • 肛門ポリープ
  • 直腸瘤
  • 直腸粘膜脱
  • 直腸脱
  • 尖圭コンジローマなどに対する根本手術

表在の外傷

すり傷、切り傷、咬傷、やけどなどの創処置、縫合処置

皮下腫瘤

粉瘤、脂肪腫、うおのめ、たこなどの摘出や切除

診察の結果、術後の入院を要するような大きな手術など、当クリニックでの対応が困難と判断すれば、連携先でもある総合病院などを紹介いたします。

肛門外科の日帰り手術

肛門外科の日帰り手術について

当クリニック内には内視鏡室兼手術室があり、おしりの病気に対する日帰り手術を行っています。
肛門疾患(痔核、痔瘻、裂肛など)の根治手術は、従来は入院で行うものでした。
手術方法や薬剤の開発により、これまで行われてきた入院手術と同様の治療を日帰り手術で行うことが可能となりました。そして、ひとつの手術方法で治療するのではなく、いくつかの治療法を組み合わせることで、手術侵襲を少なくし、根治性の高い最適な手術を行います。

また、肛門外科疾患は消化管の病気と密接な関係があるため、日帰り手術を受けていただく前には内視鏡検査を行う事をお勧めします。当クリニックでは手術同日に大腸内視鏡検査(ご要望にて胃内視鏡検査も同時に)を行い、眠ったままの状態で手術に臨むことも可能です。

手術の麻酔は仙骨硬膜外ブロックによる部分麻酔を第一に行っております。おしり周りの痛覚のみ取り除くことができ、腰椎麻酔と比べて血圧の変動も少なく、頭痛や嘔気もなく、術後もすぐに歩行ができることから日帰り手術に最適な麻酔方法と考えます。
ブロック注射のため麻酔の効果にむらが出ることがありますが、局所麻酔を併用することで痛みを感じにくい、安全な手術を提供できると考えております。

体への負担の少ない手術を行いますので、翌日から日常生活に戻ることが可能です。
手術後の生活の仕方、排便習慣や食事、運動などについてはしっかりとご説明させていただきますのでご安心ください。

いぼ痔(内痔核、外痔核)の日帰り手術

ジオン注射(ALTA療法)

内痔核に対する硬化療法の1つで、2005年から開始されたものです。痔核を切らずに治すという治療法で、1つの痔核につき、ジオン注射を4ヵ所に分割して行います。
これによって痔核に血液を流入するとされる血管を遮断することができ、次第に痔核は小さく、そして硬くなることで直腸粘膜部に癒着、固定されるようになって脱出できない状態になるという治療法です。
この注射療法の登場によって、これまで手術による切除でしか選択肢がなかった内痔核であっても切らずに治せるようになりました。なお施術時は、肛門の痛みを感じない部分に注射いたします。このように痛みや出血がみられることは少ないので、日帰りによる治療が可能です。なおジオン注射は、全体の10%程度の方に再発することがあります。

副作用としては

  • 発熱症状:3%程度(2週間以内に起こることが多いですが、一時的なものです)
  • 血圧低下:2%程度
  • 肛門周囲痛:1%程度

透析されている方、痔核嵌頓を起こしている方、妊娠中の方、授乳されている方には適応はありません。

いぼ痔

結紮切除法

内痔核に対して行われるもので、脱出している痔核に血液を送っている血管を縛りあげ、痔核の根元から切除していきます。ジオン注射に比べれば痛みがあるため、当クリニックでは主にジオン注射療法と併用して行います。術後の出血や肛門が狭くなる(狭窄)といった合併症があります。

血栓除去術

外痔核が腫れあがり血の流れが悪くなると血栓を作り、血栓性外痔核と呼ばれる状態になります。
薬の治療で改善がなかったり、繰り返す場合は血栓を除去することが必要となります。

血栓性外痔核

きれ痔(裂肛)の日帰り手術

慢性裂肛や肛門ポリープがあるという場合は、手術療法による治療が行われますが、軽度の場合は側方内括約筋切開術、症状が重度であれば肛門狭窄形成術が行われます。どちらも日帰りでの手術が可能です。

側方内括約筋切開術

裂肛を繰り返す原因は、主に肛門括約筋による過度の緊張といわれています。そのため、肛門括約筋の一部を切開することで緊張を解消させる手術療法となります。その際に肛門ポリープや肛門皮垂(皮膚のでっぱり)がある場合は、同時に切除していきます。即効性があり手術直後から効果はありますが、再発する危険性が高いともいわれています。

肛門狭窄形成術

裂肛の慢性化が進み、肛門の狭窄が進んでいる際に肛門括約筋の一部を切開することで狭窄状態を部分的に解消し、裂肛によって発生した肛門潰瘍や肛門ポリープといった病変も切除していきます。なお、切開した肛門括約筋の部分には、すぐ近くにある皮膚を移動させて縫合していきます。

あな痔(痔ろう)の日帰り手術

痔ろうの場合、主に下記の手術方法があります。

切開開放術(lay open法)

主に瘻管(ろうかん)が後方部にみられる場合に適用される手術療法で、瘻管を切開して開放する手術からlay open 法とも呼ばれています。この場合、肛門括約筋を切開する範囲が大きくなることから肛門が変形する、便失禁の可能性もありますが、再発するリスクは低く、完治する可能性は高いです。肛門括約筋を切除したとしても肛門機能に影響が少ない場合に行われます。

隅越法

外肛門括約筋貫通部分の瘻管のみ敢えて残すことで一次口、二次口共に切除する方法です。
再発リスクは切開開放術に比べると高いですが、術後の肛門機能に影響が少ないとされています。

括約筋くりぬき術(coring out)

肛門括約筋の切除は行わず、これをできるだけ傷つけずに瘻管だけをくり抜く手術になります。瘻管が側方もしくは前方にあるという場合に選択されます。その際に瘻管の入り口となる一次口は縫合によって閉鎖します。なお術後に閉鎖した部分が離開するようになると再び発症するようになります。これを回避するために閉鎖はせず、シートン法を併用することが多いです。

シートン法(seton法)

瘻管の一次口と二次口にゴム糸を通して縛っていき、その締まりによって瘻管をだんだん切開していくという手術療法になります。ゴム糸については1~2週間程度の間隔を開けて縛り直しますが、その際に痛みや違和感が少しの間ではありますが続くようになります。時間をかけて切開していくので、完全に開放される状態になるまでには瘻管の深さや長さにもよりますが場合によっては数ヵ月かかることもあります。ただ肛門括約筋の損傷は切開開放術よりも少なく、再発するリスクは低いともいわれています。

肛門周囲膿瘍の日帰り手術療法

切開排膿術

膿が溜まり、感染を起こして腫れた部位を切開することで感染の拡がりを抑えます。
炎症が強い痔瘻に対しても行う事があります。

表在の外傷の日帰り手術

怪我などによって創傷を負った場合、傷自体は大したことはないと思われても、適切な処置等を行わなければ、感染症を発症する可能性もありますので、応急処置(やけどであれば水で冷やす、創傷の場合は傷口を水で洗う、出血が止まらなければ止血するなど)をし、傷口が大きい、出血が止まらないといった場合は、速やかに受診してください。
治療が必要な場合は、水で傷口を洗い流し、傷口(創面)をドレッシング材で密封、傷口から出てくる滲出液を利用することで「自己治癒能力」を最大限に生かすことで、傷口を消毒して乾燥させる従来の方法よりも早く、そして綺麗に皮膚が再生するといわれている湿潤療法(モイストケア)や縫合処置を行うなどします。

皮下腫瘤の日帰り手術

粉瘤

粉瘤とは

皮下に発生した袋状の隙間に皮脂や古い角質など皮膚の老廃物が詰まって、それがコブのような半球状の腫瘤として現れたのが粉瘤です。これが数㎜~数cmほどの大きさになります。なお発症の原因には、外傷やウイルス感染などが挙げられています。
発症しやすい部位は、顔、首、背中、耳の後ろ、鼠径部などで、その数は1個のこともあれば、多数発生することもあります。また患部を触ると、しこりが感じられ、真ん中に黒点状の小さな開口部が確認できます。自覚症状はないものの、粉瘤を指で潰すなどしたことで細菌に感染し、炎症を起こすと、痛みやかゆみなどがみられるようになります。

治療について

炎症性粉瘤の症状がある場合は、まずは抗生物質の服用、あるいは膿を排出するために小さく切開(切開排膿)して、炎症を抑えます。
一度改善したとしても、粉瘤の症状は繰り返しますので摘出が必要となります。

当クリニックでは、局所麻酔を行いながら、粉瘤を摘出していきます。