生活習慣病とは

日頃からの不摂生な生活習慣(偏食、過食、慢性的な運動不足、喫煙、多量の飲酒)が引き金となり発症する病気の総称です。代表的な疾患には、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高尿酸血症などがありますが、厄介なことにこれらの疾患は、はっきりとした自覚症状が出にくいという特徴があります。
そのため病気を知らず知らずのうちに進行させてしまい、血管がダメージを受け続けて、動脈硬化を引き起こします。その状態が続くと、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、血栓症など重篤な病気を引き起こす危険性が高まります。

どうすれば良いか?

何よりも予防と規則正しい生活習慣が大切です。
日頃から定期的に健康診断を受診し、血圧、体重、血糖値、LDLコレステロール値などをチェックしましょう。その結果、生活習慣病が疑われる場合は詳細な検査を行い、速やかに治療および予防対策を行います。まずは食生活の見直し、ストレスを溜めない、規則正しい生活の実践、運動不足の解消などから始めていき、それだけでは困難と判断すれば薬物療法を並行して行っていきます。

主な疾患

高血圧

高血圧とは

高血圧

高血圧診療ガイド2020では診察室での血圧で収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、かつ/または拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上の場合と言われています。同様に家庭血圧(自宅での血圧測定)で収縮期血圧が135mmHg以上、かつ/または拡張期血圧が85mmHg以上の場合を指します。
診察室、家庭での血圧測定での開きの大小で白衣高血圧、仮面高血圧と診断されます。

国内の研究では収縮期血圧が120mmHg以上、拡張期血圧が80mmHgを超えて血圧が高くなるほど、脳、心血管系、慢性腎臓病などにかかるリスクや死亡リスクは高まると言われています。つまり脳卒中、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、末期腎不全を併発することとなります。

日本では高血圧の有病率は加齢と共に上昇し、50歳代以上の男性と60歳代以上の女性では50%を超えています。推定患者数は約4300万人いるとされ、そのうち約3100万人(高血圧患者の72%)が140/90mmHg以上の管理不良といわれています。

1度測定しただけで判定されることはありませんので、同じ条件下で何日か測定することが重要です。
頭重感や吐き気、胸の違和感などを感じる方もいますが、自覚症状がない方がほとんどです。
合併症を引き起こさない為にも、日頃から血圧を測定する習慣が重要です。

血圧が高いと感じたら、血圧に感じて不安を感じることがあったら、迷わず当クリニックを受診ください。

高血圧には2つある

1)本態性高血圧:

日本人の全高血圧患者の約9割を占めます。これは原因が特定できないとされる高血圧でもあります。
元々高血圧になりやすいタイプの方が、不摂生な生活習慣(過食や塩分の過剰摂取といった食生活、運動不足、喫煙、多量の飲酒、過剰なストレスなど)を続けることで引き起こすのではないかと考えられています。

2)二次性高血圧:

他の病気(原発性アルドステロン症、腎実質性高血圧症など)によって引き起こされる高血圧です。
生活習慣を正してもなかなか血圧が下がらない場合は血液検査でホルモン値などを調べ、適切な診断、治療を行います。

高血圧治療について

まずは徹底的な生活習慣の見直しが必要です。

  • ① 食塩制限:6g/日未満。
  • ② 野菜・果物の積極的摂取、飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を控える、低脂肪乳製品の積極的摂取。
    *腎不全のある方は果物、野菜にはカリウムが多いため積極的な摂取は勧められません。
    *肥満、糖尿病のある方は、果物摂取を80kcal/日(バナナ1本、リンゴ 1/2個程度)に留めましょう。
  • ③ 適正体重の維持:BMI(体重 kg÷身長 ㎡) 25未満
  • ④ 運動療法:軽強度の有酸素運動を毎日30分、または1週間に180分以上を行う。
  • ⑤ 節酒:エタノールとして男性 20~30ml/日、女性 10~20ml/日 以下に制限する。
    *エタノール 20g(お酒の1単位)の換算量=ビール 500ml、缶チューハイ 500ml、日本酒 1合、焼酎 0.5合、ウイスキー ダブル1杯、ワイン 1/4本です。
  • ⑥ 禁煙

降圧薬にはCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬の5種類があります。
生活習慣の見直しをしても高血圧が続く場合は、その方の病態に応じた降圧薬を投与します。

2)二次性高血圧:

他の病気(原発性アルドステロン症、腎実質性高血圧症など)によって引き起こされる高血圧です。
生活習慣を正してもなかなか血圧が下がらない場合は血液検査でホルモン値などを調べ、適切な診断、治療を行います。

降圧目標値について

診察室血圧 家庭血圧
  • 75歳未満の成人
  • 脳血管障害(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)
  • 冠動脈疾患
  • 尿蛋白陽性の慢性腎不全の方
  • 糖尿病
  • 抗血栓薬(サラサラにする薬)服用中の方
130/80mmHg未満 125/75mmHg未満
  • 75歳以上の高齢者
  • 脳血管障害(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)
  • 尿蛋白陰性の慢性腎不全の方
140/90mmHg未満 135/85mmHg未満

糖尿病

糖尿病とは

糖尿病

糖尿病治療ガイド2020-2021によると、血液中にはブドウ糖が含まれていて、その濃度のことを血糖値といいます。この血糖値が慢性的に高くなっている状態が糖尿病です。ブドウ糖は、細胞に取り込まれてエネルギー源となるものですが、これが何らかの原因によって取り込まれなくなると血液中で過剰になり、血糖値が高くなります。血糖値は、食事や糖分を含んだジュースを飲むなどすることで上昇するようになりますが、膵臓で作られるホルモンの一種であるインスリンが分泌されることで、血糖値が下がるようになって再びバランスのとれた状態に戻るようになります。しかし、このインスリンが作用不足を起こすようになると血糖値は上昇したままとなり、やがて糖尿病を発症するようになります。その原因は大きく2つ(1型糖尿病、2型糖尿病)あるとされています。

1型糖尿病と2型糖尿病

  • 1型糖尿病:インスリンを作成する膵臓のβ細胞が主に自己免疫の異常などによって破壊され、それによってインスリンがほぼ分泌されていない状態です。そのため、体内に速やかにインスリンを補充していくインスリン注射療法が必要となります。発症者に若い世代(小児期、思春期)が多いのも特徴です。
  • 2型糖尿病:日本人の全糖尿病患者の95%以上を占めるとされ、中高年世代など成人以上の方に発症することがほとんどです。糖尿病患者は約300万人、糖尿病予備群は約1000万人いると言われています。長く続く不摂生な生活習慣(偏食・過食、運動不足、喫煙、多量の飲酒、ストレスなど)の積み重ねで膵臓が疲弊してしまい、それによってインスリンの分泌量が不足(インスリン分泌障害)、あるいはその量が十分でも効きが悪い状態(インスリン抵抗性)になります。

またこの2つのタイプ以外にも、他の病気や薬剤が原因で発症する二次性糖尿病、妊娠中の女性にみられる妊娠糖尿病もあります。

糖尿病も他の生活習慣病と同じく、発症初期に自覚症状が出ることはありません。そのため、多くの方は放置しがちになりますが、血糖値が高いままの状態は、血管内皮が損傷を受けやすく、さらに進行すると細小血管から障害が起きるようになります。特にこれらが集中している網膜や腎臓は合併症を起こしやすいことから、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害は糖尿病三大合併症と呼ばれています。また、糖尿病は動脈硬化も引き起こしやすい特徴があるので、動脈で血管障害が起きれば脳卒中や心筋梗塞などの合併症も起こりやすくなります。

糖尿病は、ある程度まで進行すると頻尿、多尿、のどの異常な渇き、全身の倦怠感、食欲はあるのに体重が減少しているといった症状が見受けられます。このような症状に心当たりがあれば一度当クリニックを受診ください。

糖尿病の診断基準について

① 早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上、あるいは75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間値が200mg/dL以上、あるいは随時血糖値が200mg/dL以上
② HbA1c値が6.5%以上

①と②の両方を満たしていると、糖尿病と診断されます。また、①か②のいずれかのみが当てはまる場合、「糖尿病型」と診断され、再検査で同様の結果が出た場合は、糖尿病と診断されます。
空腹時血糖値の正常値は110mmHg以下、ブドウ糖負荷試験や随時血糖値は140mmHg以下で正常型と診断されます。

メタボリックシンドロームと境界型糖尿病

正常型にも糖尿病型にも当てはまらない血糖値を示す状態を境界型と呼びます。境界型糖尿病の中には糖尿病になる途中、または改善する途中にある方が混ざっています。
インスリンの分泌量が不足(インスリン分泌障害)、あるいはその量が十分でも効きが悪い状態(インスリン抵抗性)があり、後者は「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」を起こしやすいと言われております。メタボリックシンドロームはお腹の内臓脂肪蓄積とインスリン抵抗性を基盤としており、2型糖尿病や動脈硬化性疾患の危険因子が個人に集積した病態と考えられます。

メタボリックシンドロームの診断基準

・必須条件は内臓脂肪型肥満
ウエスト周囲長 男性:85cm以上、女性:90cm以上(男女とも内臓脂肪面積 100㎠以上に相当)

・3項目のうち2項目以上
1) 脂質 中性脂肪値:150mg/dL以上 かつ/または HDLコレステロール値:40mg/dL未満
2) 血圧 収取期血圧:130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧 85mmHg以上
3) 血糖 空腹時血糖:110mg/dl以上

脂質異常症

脂質異常症(高脂血症)とは

脂質異常症

LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)の数値が基準よりも高い、もしくはHDL(善玉)コレステロールが基準よりも低いと判定されると脂質異常症(高脂血症)と診断されます。
自覚症状が現れにくい病気なので放置しやすく、多くの方は健康診断で行われる血液検査の結果から発症に気づくことが大半です。

脂質異常症(高脂血症)の診断基準

  • LDLコレステロール値≧140mg/dL(高LDLコレステロール血症)
  • 中性脂肪≧150mg/dL(高トリグリセライド血症)
  • HDLコレステロール値<40mg/dL(低HDLコレステロール血症)

放置が続けば重篤な合併症のリスクが高くなる

コレステロールはホルモンや胆汁酸といった原料になります。中性脂肪は体内のブドウ糖が不足した場合、その不足を補うためのエネルギー源になるなど体にとって必要不可欠なものです。これらが何らかの原因により過剰(例えばLDLコレステロールが血管内で蓄積するよう)になると、やがて動脈硬化を起こします。さらに放置が続くと血管内が狭窄し、脳卒中や虚血性心疾患といった合併症を引き起こす危険性が高まります。

発症原因

1)原発性脂質異常症:生活習慣の乱れ(過食や多量の飲酒、動物性脂肪やコレステロールの多い食品を好む、高カロリー食を好む、運動不足など)や遺伝的要因(家族性高コレステロール血症など)によって引き起こされるタイプです。

2)続発性脂質異常症:糖尿病や甲状腺機能低下症といった他の病気やステロイド薬の長期使用などによって起きるタイプです。

いずれの脂質異常症であったとしてもLDLコレステロールの数値を下げることが重要です。同数値を下げることは、中性脂肪やHDLコレステロールの数値も正常化するとされているからです。

健康診断などで悪玉コレステロールが高い、善玉コレステロールが低い、中性脂肪が高いと指摘された方は当クリニックを受診ください。

高尿酸血症(痛風)

高尿酸血症(痛風)とは

高尿酸血症

血清尿酸値が7.0mg/dlを超えている状態です。
尿酸値が高い状態になると、水に溶けにくい尿酸が針状の結晶を持つ尿酸塩になって血液中に存在するため、身体中でみられるようになります。これが関節(特に足の親指の付け根に多い)に留まってしまうと激痛を伴った炎症発作が起き、これを痛風発作といいます。

高尿酸血症と診断された方は、いつ痛風発作が現れてもおかしくない状態です。
また、痛風結節、尿路結石、慢性腎臓病などの腎障害、狭心症や心筋梗塞などの心疾患を併発させることもあります。メタボリックシンドロームとの関連も指摘されており、生活習慣病が高率に合併しやすいといわれています。

発症の原因については、体内で尿酸が多く産生される体質(尿酸産生過剰型)である、尿酸の排出が悪い(尿酸排泄低下型)の2つのタイプがあります。原因によって選択する薬剤も変わってきますが、排泄低下型の方が頻度は高いです。

尿酸の元となるプリン体を含んだ食品(動物のレバー類、干し椎茸、魚卵類、エビなど)を過剰に摂取して、体外から尿酸を多く取り込んでしまうことや、多量の飲酒(ビールなど)も尿酸値を上昇させる作用がありますので、尿酸値の高い方は注意が必要です。尿酸値が高いと指摘された方は当クリニックを受診ください。

甲状腺疾患

甲状腺とは

甲状腺

のどぼとけの直下にあり、蝶が羽根を広げたような形をしている重さ10~20gほどの小さな臓器で、全身の新陳代謝や成長促進にかかわるホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。

甲状腺の病気の種類

① 甲状腺から分泌されるホルモンの量が変化する病気

・甲状腺ホルモンが過剰につくられる甲状腺機能亢進症
:バセドウ病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎など

・甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症
:橋本病(慢性甲状腺炎)、手術後甲状腺機能低下症、粘液水腫、アイソトープ治療後など

② 甲状腺内に腫瘤(しこり)が発生する病気
:腺腫様甲状腺腫、甲状腺がん、嚢胞、腺腫、悪性リンパ腫など

③ 上記の両方が合併している病気:プランマー病など

甲状腺疾患は、女性によく見受けられる病気で、男女比は1:5と言われています。健康診断で偶然に指摘されることも多いです。
視診、触診、血液検査、頚部超音波検査、細胞診検査を行い診断、治療を行っていきます。

また甲状腺疾患を発症すると以下にあるような症状があり、これらは日々の多くの女性が感じていることでもあるので、ご本人が気づくことは困難かもしれません。そのため自己判断はせずに、原因不明の体調不良につきましては、当クリニックを受診ください。

下記のような方は甲状腺疾患の可能性があります

  • 首に腫れがある
  • 安静にしているのに、心臓がドキドキする
  • 脈がゆっくり静かになった
  • 手指が細かく震える
  • 暑がりになり、水をよく飲み、汗をたくさんかく
  • よく食べているのに痩せてきた
  • 食欲が無いのに太ってきた
  • イライラしやすくなった
  • 落ち着きがなくなった
  • 体が冷え、寒がりになった
  • 肌が乾燥し、カサカサする
  • 体が重く、だるさを感じる
  • 朝起きた時に、顔や手がむくんでいる
  • 便秘、下痢をしやすくなった
  • 昼間も眠く、居眠りをするようになった
  • 月経不順になった など

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症

主に加齢が原因で骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。高年齢女性の患者が占める割合が高く、なかでも、多くの女性が閉経を迎えるとされる更年期世代の方が多く発症しています。

骨粗しょう症の原因

女性は閉経を迎えると女性ホルモン(エストロゲン)が減少します。このエストロゲンには骨の新陳代謝の際に骨吸収をゆるやかにし、骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあります。しかし、これが減少すると骨吸収のスピードが速まり、骨の形成が追いつかなくなります。すると骨の中のカルシウムの量(骨量)が減少してしまい、まるで鬆(す)が入ったように骨がスカスカになり、もろくなる症状が現れるようになります。

骨量は、20~30歳代頃の若い時期をピークに、加齢と共に減少していきます。この骨量、あるいは骨密度(単位体積あたりの骨量)が減少すると、手首(前腕骨遠位部骨折)や背骨(椎体骨折)、肩(上腕骨近位部骨折)、太もものつけ根(大腿骨近位部骨折)などを骨折しやすくなり、最悪な場合は寝たきりになることもあります。

骨粗しょう症では、骨量もしくは骨密度の低下はゆっくり進行するので、初期から自覚症状を感じることはありません。病状が進みさらに骨密度が少なくなると、骨の変形や骨折が起きた際に激しい痛みが伴い、このような状態になると動作を始める際や起床時に背中や腰が痛むようになり、寝返りや仰向けで寝るのも困難になっていきます。やがて痛みは治まるようになりますが、背骨は変形していき、後方に弯曲して丸くなったり、背が低くなったりといった症状も現れます。

なお、加齢以外でも無理なダイエットや運動不足などの不摂生な生活習慣、特定の病気(関節リウマチ、糖尿病、慢性腎臓病、動脈硬化など)や薬の副作用(ステロイド薬の長期服用など)で発症することもあります。

骨粗しょう症の治療

専門的な治療や適切な生活改善を行えば、骨密度の減少を改善し、骨折リスクを大幅に減少させることができます。そのため食事や運動といった生活習慣も大きく関係しています。

「骨の生活習慣病」とも言われており、食事療法や運動療法もこの病気の予防と改善には欠かせません。なお、医師から骨粗しょう症の診断を受けた場合、薬物療法による治療が行われるようになります。
それぞれの治療法は以下の通りです。

食事療法
カルシウムやたんぱく質といった骨の主成分、あるいは骨のリモデリングに必要とされるビタミンD・Kなどの栄養素を積極的に摂取しながら、バランスのとれた食生活を送る。
*リモデリング:骨を壊す働きをする破骨細胞が骨を吸収する一方で、骨をつくる働きをする骨芽細胞が、破骨細胞によって吸収された部分に新しい骨をつくる代謝作用。
運動療法
骨は体重の負荷をかけることで丈夫になりますが、強度の高い運動を行う必要はなく、ウォーキングのような軽度の運動をするだけで十分です。長く継続することが重要です。
薬物療法
薬物療法は、骨粗しょう症の診断を受けてから開始することが多いです。主に骨の破壊を抑制する薬(ビスフォスフォネート製剤やSERMなど)や骨の材料を補う薬(カルシウム製剤や活性型ビタミンD3製剤など)などを使用します。
*SERM:選択的エストロゲン受容体モジュレーター

動脈硬化

動脈硬化とは

動脈が何らかの原因で硬くなってしまい、血管の柔軟性が失われている状態になり、動脈が硬くなることで血管の内腔に堆積したコレステロールなどがプラークを形成し、血管が詰まりやすくなっている状態です。

この場合、心臓から血液がうまく送り出されなくなるので、心臓に負担がかかります。病状が進行し、血管が詰まる、あるいは血栓ができるなどすると栄養や酸素が含まれた血液が全身に行き渡らなくなって、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの病気を発症するようになります。

動脈硬化の原因

年齢と同じように血液が老化することで起きると言われていますが、加齢の他にも、不摂生な生活習慣を続けることで起きる高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の発症、肥満、喫煙などによって、発症リスクが高まります。初期症状が現れにくいのも特徴で、症状が進んでいくと、頭痛、耳鳴り、めまい、疲れやすい、動悸がする、足の冷えや痛みといった症状がみられるようになります。

動脈硬化の予防と治療

生活習慣病の治療や予防で行われる食事療法や運動療法が重要です。食事療法では、大豆、緑黄色野菜、食物繊維、ビタミンE、青魚、柑橘類などを積極的に摂取し、脂質やコレステロール、塩分などを多く含む食品は控えるといったことです。運動療法では、強度の高い運動は必要ありません。具体的には1回30分程度のウォーキングで充分ですが、毎日行うことが重要です。

脳卒中

脳卒中とは

脳卒中

脳の血管が閉塞あるいは破れるなどすることで、何の前触れもなく神経症状が現れた状態の総称が脳卒中で、脳血管障害と呼ばれることもあります。脳卒中は虚血性脳血管疾患(脳梗塞)と出血性脳血管疾患(脳出血、くも膜下出血)に分けられます。
また、日本人の脳卒中患者様のおよそ4分の3にあたる方が脳梗塞を発症しているといわれています。脳卒中は介護が必要になった疾患の原因第1位にも挙げられており、早期発見、早期治療が不可欠です。

なお、脳卒中が起こった際の代表的な症状は、しびれや感覚障害、構音障害、失語、失認、激しい頭痛、嘔吐、吐き気、意識障害などです。脳卒中の疾患ごとに以下の表でまとめましたのでご確認ください。
これらの症状に心当たりがある方は受診ください。診察にて疑わしい場合は、当クリニックの連携先でもある総合病院や専門の医療機関を紹介いたします。

  • 脳梗塞:身体の片側の麻痺、呂律がまわらない、片側の手足や顔面の感覚障害、ふらつき、意識障害など
  • 脳出血:頭痛、めまい、吐き気・嘔吐、片方の手足の麻痺やしびれなど
  • くも膜下出血:突然起きる激しい頭痛、項部硬直、嘔吐、意識が朦朧あるいは消失